何も出来なくてごめんね。
今にも目を開きそうな彼女の前で、何度も心の中で叫んだ。
ご家族とは笑顔で話をしていたが、部屋に一人になった時に我慢していたモノが一気に溢れ出てきた。
まだ温かい体を優しく触っていたら、少しだけそれに応えてくれたよ。
彼女との出会いはちょうど一年前。
自己主張は強かったけど、とてもしっかりされていた。
俺の事は孫のように可愛がってくれたよ。
夏。
リハビリが順調に進み退院の話が進んでいたので、家の調査にも行き、手すりなどの設置も進めた。
でも突然体調を崩し、opeを受ける為に外科病棟へ移る事になってしまったんだ。。
opeも成功に終わり、リハビリも順調だった。。
街がイルミネーションで彩られる頃に自宅へ退院。
X'masには家に綺麗な白のシクラメンの花を届けてくれた。
退院は寂しかったけど、元気に歩いて家に帰ってくれたから嬉しかったよ。
2月。
院内を歩いていたら、外科のナースに再入院してきたと告げられ病棟へ走った。
俺の心配を裏腹に彼女は笑顔で迎えてくれた。
『帰ってきちゃダメだって言ったのに。』
久しぶりに会った彼女は相変わらずだったよ。
体が痛いと、わざわざナースを捕まえて俺を呼べって言うんだ。
そういう時はリハビリ室まで電話が来る。
たまに嫌味たらしいとこがあったけど、不思議と憎めない。
『早く家に帰ろうね。』
順調とまでは言えなかったが、リハビリは進んでいたよ。
また歩けるようになったしね。
3月31日。
退院が決まった。
どうしても家に帰したかった。
最悪な病魔がいつ彼女を襲うかわからなかったから。
そんな俺の思いは届かず、直前になって退院の延期。
家族の意向だった。
4月に入り彼女のいつもの活気がなくなっていった。
羨ましい程のプラス思考が珍しくマイナスになっている。
『私ももう終わりだよ。』
あんな暗い顔は1年間の中で初めて見たよ。
4月11日。
帰りにいつも通り彼女の所に寄った。
状態はかなり悪い。
酸素吸入をしていて、モルヒネが入っている状態。
そんな中でも俺の問いかけに目を開けて応えてくれた。
『今日は、もう帰るからね。俺のことわかる?』
『わかるに決まってるでしょ。こんな遅くまでいたの?早く帰ってご飯食べなさい。』
『ありがとね。』
力のない声だけど、意識はしっかりしている。
いつも俺が遅くなると、決まって言う言葉だった。
そしてそれが彼女と交わした最後の会話となった。
4月12日。
出勤した俺は彼女の事が心配で病棟へ一刻も早く行きたかったんだけど、その日は朝から忙しくて行くのが遅くなってしまった。
ちょうど病棟へ入る時にナースとすれ違って、彼女の事を尋ねた。
『今亡くなったから、早く行ってあげて。』
個室へ入ると彼女は静かに眠っていた。
ありがとう。
ただ、ただ俺は彼女にそう伝えた。
色んな事を俺に教えてくれた。
社員証と俺の携帯には彼女からもらった物が今でも付いている。
俺の成長を見守ってて下さい。
ゆっくり休んでね。
ありがとう。
今にも目を開きそうな彼女の前で、何度も心の中で叫んだ。
ご家族とは笑顔で話をしていたが、部屋に一人になった時に我慢していたモノが一気に溢れ出てきた。
まだ温かい体を優しく触っていたら、少しだけそれに応えてくれたよ。
彼女との出会いはちょうど一年前。
自己主張は強かったけど、とてもしっかりされていた。
俺の事は孫のように可愛がってくれたよ。
夏。
リハビリが順調に進み退院の話が進んでいたので、家の調査にも行き、手すりなどの設置も進めた。
でも突然体調を崩し、opeを受ける為に外科病棟へ移る事になってしまったんだ。。
opeも成功に終わり、リハビリも順調だった。。
街がイルミネーションで彩られる頃に自宅へ退院。
X'masには家に綺麗な白のシクラメンの花を届けてくれた。
退院は寂しかったけど、元気に歩いて家に帰ってくれたから嬉しかったよ。
2月。
院内を歩いていたら、外科のナースに再入院してきたと告げられ病棟へ走った。
俺の心配を裏腹に彼女は笑顔で迎えてくれた。
『帰ってきちゃダメだって言ったのに。』
久しぶりに会った彼女は相変わらずだったよ。
体が痛いと、わざわざナースを捕まえて俺を呼べって言うんだ。
そういう時はリハビリ室まで電話が来る。
たまに嫌味たらしいとこがあったけど、不思議と憎めない。
『早く家に帰ろうね。』
順調とまでは言えなかったが、リハビリは進んでいたよ。
また歩けるようになったしね。
3月31日。
退院が決まった。
どうしても家に帰したかった。
最悪な病魔がいつ彼女を襲うかわからなかったから。
そんな俺の思いは届かず、直前になって退院の延期。
家族の意向だった。
4月に入り彼女のいつもの活気がなくなっていった。
羨ましい程のプラス思考が珍しくマイナスになっている。
『私ももう終わりだよ。』
あんな暗い顔は1年間の中で初めて見たよ。
4月11日。
帰りにいつも通り彼女の所に寄った。
状態はかなり悪い。
酸素吸入をしていて、モルヒネが入っている状態。
そんな中でも俺の問いかけに目を開けて応えてくれた。
『今日は、もう帰るからね。俺のことわかる?』
『わかるに決まってるでしょ。こんな遅くまでいたの?早く帰ってご飯食べなさい。』
『ありがとね。』
力のない声だけど、意識はしっかりしている。
いつも俺が遅くなると、決まって言う言葉だった。
そしてそれが彼女と交わした最後の会話となった。
4月12日。
出勤した俺は彼女の事が心配で病棟へ一刻も早く行きたかったんだけど、その日は朝から忙しくて行くのが遅くなってしまった。
ちょうど病棟へ入る時にナースとすれ違って、彼女の事を尋ねた。
『今亡くなったから、早く行ってあげて。』
個室へ入ると彼女は静かに眠っていた。
ありがとう。
ただ、ただ俺は彼女にそう伝えた。
色んな事を俺に教えてくれた。
社員証と俺の携帯には彼女からもらった物が今でも付いている。
俺の成長を見守ってて下さい。
ゆっくり休んでね。
ありがとう。
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